情報の非対称性や消費者側のリテラシー不足に頼った事業は無理な時代になっていると思う。 個人的にもそういう企業は投資対象に選びたくない。きつい。
クレベリン余る
covid-19流行の初期に大幸薬品はクレベリンによって大きく業績を伸ばした。https://ssl4.eir-parts.net/doc/4574/ir_material_for_fiscal_ym1/95617/00.pdf
(業績は絶好調にも関わらず営業CFがマイナスになっている……)
しかし、わたしの観測範囲ではcovid-19流行初期から、医療従事者によってクレベリンの無意味さを指摘する意見が多くあがっていた。そしてその医療従事者の指摘を根拠に、多くの人がクレベリンの無意味さをSNS上で拡散させていった。
covid-19流行初期の情報・物資不足の混乱によってなのか、小売り側担当者の科学リテラシーの低さなのかわからないが最初はたくさん出荷できたようだ。ドラッグストアの入口に山積みになっている光景を見た人も多いと思う。
徐々に効果の望めない商品だということが広まったのか、飽きられたのか理由はわからないが、会社側が思っていたほど売れず、21年12月期にたな卸資産評価損と減損損失を計上するにいたった。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4574/tdnet/2088219/00.pdf
さらに消費者庁から景品表示法に基づく措置命令が行われた。
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_220120_01.pdf
人々の恐怖心は金になる
他にも各企業がcovid-19流行の混乱に乗じて儲けのチャンスを狙い、有象無象の製品・サービスをリリースしている。医学的に意味があるのかわからないPCR検査キットや一部クリニックでの自費診療コロナ相談、空間除菌、謎のジェル等々。わたしは勤めている会社の社用車を業務でディーラーに持ち込んで修理してもらったとき、帰り際にハンドジェルを渡されたことがある。販売会社名を検索してみるとサジェストに「○○ 消費者庁」と出てくる会社である。ぱっと見除菌できそうなジェルに見えるが、表示をよく読むと、除菌できるという文言が一切記載されていない。人間の心理の穴をついて誤認を狙ったパッケージである。よくできている。
世の中の大多数の人は、製品のパッケージに印字してある活字などまともに読まない。
それを利用して、安価で無価値なものを効用があるように見せかければそこそこ儲かるだろう。
しかし今は世界中の人々がSNSで情報や意見を発信する時代だ。不誠実な行いは人々の「正義」の怒りによって世の中に拡散していく。時には残酷ささえ感じる「正義」は人々を動かす強力なパワーになる。品行方正でなければ生き延びることができない、行儀の悪い人間にとって生きづらい世の中になりつつあるのだと思う。個人的には世の中から暴力や欺瞞が減るのは喜ばしいが、振りかざされた「正義」の恐ろしさも感じる。
0 件のコメント:
コメントを投稿